大学トップマネジメント研修 http://ttm.grips.ac.jp/ 政策研究大学院大学 Tue, 02 Apr 2019 09:39:30 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.1.1 平成30年度「大学トップマネジメント研修」 総括シンポジウム 開催報告(YouTube) http://ttm.grips.ac.jp/archives/1239.html http://ttm.grips.ac.jp/archives/1239.html#respond Thu, 14 Mar 2019 02:52:23 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=1239 平成31年3月1日(金)〜3月2日(土)、文部科学省「イノベーション経営人材育成システム構築事業」のもと、「国立大学改革の最前線」をテーマに政策研究大学院大学において大学トップマネジメント研修「総括シンポジウム」を開催しました。

総括シンポジウムの様子を下記Youtubeのスライドショーにてご覧いただけます。

総括シンポジウム報告(Youtube)

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平成30年度「大学トップマネジメント研修」総括シンポジウム 開催レポート http://ttm.grips.ac.jp/archives/1202.html http://ttm.grips.ac.jp/archives/1202.html#respond Thu, 14 Mar 2019 01:17:41 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=1202 平成31年3月1日(金)〜3月2日(土)、文部科学省「イノベーション経営人材育成システム構築事業」のもと、「国立大学改革の最前線」をテーマに政策研究大学院大学において大学トップマネジメント研修「総括シンポジウム」を開催しました。

2日間のシンポジウムでは、学長推薦を受けて大学トップマネジメント研修に参加した25の国立大学の研修生により各大学において現在進行形の最前線の取り組みについて紹介していただくとともに、3年間の本事業研修に参加した60名以上の研修生が一堂に会し、総合討論においてファシリテーターの内閣府・上山隆大議員を中心にこれからの日本の大学改革の行方について活発な議論を行いました。その中で本事業を通して培われた大学を超えたネットワークの重要性が再確認されました。また総括シンポジウムの最後に、本事業研修生への修了証の授与式を執り行いました。

詳細はこちらをご覧ください。(クリックでPDFが表示されます。)

FY18News_国内第4回総括シンポジウム

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平成30年度「大学トップマネジメント研修」第3回国内プログラム 開催レポート http://ttm.grips.ac.jp/archives/1192.html http://ttm.grips.ac.jp/archives/1192.html#respond Mon, 11 Mar 2019 01:01:31 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=1192 平成31年2月1日(木)〜2月3日(土)、政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センターは、文部科学省「イノベーション経営人材育成システム構築事業」のもと平成30年度第3回国内プログラムを実施しました。
第1日目は、「教育研究の卓越性の見える化」をテーマに、英国において開発された研究および教育の卓越性(エクセレンス)を評価する仕組みである、Research Excellence Framework (REF)とTeaching Excellence Framework (TEF)について、REFを統括するDavid Sweeney氏(Executive Chair, Research England)、TEFを統括するGraeme Rosenberg氏(Head of TEF, Office of Students)をお招きし、教育研究実績を評価する方法や、それらを通じて教育研究の卓越性を向上させる仕組みについて公開セミナーを実施しました。
非公開セミナーでは、英国に加えドイツから大学の教育研究評価や卓越拠点形成の経験や知見を有する講師をお迎えし、評価制度の目的、方法、結果の活用について学び、日本の国立大学の教育研究実績の測定のあり方について議論しました。さらに、大学の研究活動と社会との直接的な接点である産学連携やスタートアップにかかる専門家や、将来の研究イノベーションと社会との関係について専門知識を有する講師をお招きし、経済社会の中での大学の機能と具体的なマネジメント方法について活発な議論を行いました。

詳細はこちらをご覧ください。(クリックでPDFが表示されます。)

FY18ニュースレター

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【発表資料 平成31年3月1日・2日】総括シンポジウム http://ttm.grips.ac.jp/archives/1153.html http://ttm.grips.ac.jp/archives/1153.html#respond Mon, 04 Mar 2019 05:50:49 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=1153 総括シンポジウム 「国立大学改革の最前線」

【発表資料】

北海道大学

東北大学

山形大学

茨城大学

筑波大学

宇都宮大学

群馬大学

東京大学

東京農工大学

東京工業大学

新潟大学

山梨大学

静岡大学

名古屋大学

三重大学

京都大学

大阪大学

岡山大学

愛媛大学

高知大学

九州大学

佐賀大学

長崎大学

熊本大学

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【講演資料 平成31年2月1日】平成30年度「大学トップマネジメント研修」第3回 国内プログラム公開セミナー http://ttm.grips.ac.jp/archives/1127.html http://ttm.grips.ac.jp/archives/1127.html#respond Mon, 04 Feb 2019 08:00:59 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=1127 平成30年度「大学トップマネジメント研修」第3回 国内プログラム 「教育研究の卓越性の見える化」

【講演資料】

“What is High-Quality Research in the 21st Century”

David Sweeney 氏(Executive Chair, Research England)
[資料]

“Measuring and Promoting Teaching Excellence in UK Higher Education”

Graeme Rosenberg 氏 (Head of Teaching Excellence Framework, Office for Students)
[資料]

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大学トップマネジメント研修◆総括シンポジウム◆を開催します http://ttm.grips.ac.jp/archives/1032.html http://ttm.grips.ac.jp/archives/1032.html#respond Wed, 30 Jan 2019 11:10:30 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=1032 大学トップマネジメント研修総括シンポジウム

1日目 3月1日(金)プログラム

司会:小川 哲生(大阪大学 理事・副学長)

国立大学名 / University 発表時間 / Time 発表プログラム・発表者 / Program & Presenter
北海道大学 13:20-13:30
北海道大学におけるIRの取り組み
長谷山 美紀(情報科学研究科 教授)
山形大学 13:30-13:40
山形大学のガバナンス改革
久保田 功(理事・副学長)
新潟大学 13:40-13:50
産業界と連携した分野横断的な’innovative thinking’は「教える」ことができるか?~ある授業開発の試み~
髙橋 秀樹(人文社会科学系・教授/副学長)
茨城大学 13:50-14:00
教育改革について
太田 寛行(理事・副学長(教育統括))
筑波大学 14:00-14:10
筑波大学における大学経営改革への歩み
猿渡 康文(大学経営改革室 室長/ビジネスサイエンス系 教授)
宇都宮大学 14:10-14:20
医学部を持たない小規模地方国立大学の取り組み
吉澤 史昭(学術院(農学部) 教授)
群馬大学 14:20-14:30
センター活動を通した群馬大学の機能強化
花屋 実(副学長/企画戦略室長/大学院理工学府 教授)
東北大学 14:30-14:40
東北大学の経営改革
青木 孝文(理事・副学長)
山梨大学 14:50-15:00
山梨大学の今とこれから
大塚 稔久(大学院総合研究部医学域 教授)
愛媛大学 15:00-15:10
愛媛大学の産学連携強化に向けた取組
野村 信福(学長特別補佐/社会連携推進機構副機構長)
名古屋大学 15:10-15:20
研修を通して学んだことを名古屋大学で実行した取組
木村 彰吾(理事・副総長)
高知大学 15:20-15:30
高知大学におけるオープンイノベーションの土台作り
渡辺 茂(総合科学系副学系長/希望創発センター副センター長)
菅沼 成文(医学部長)
京都大学 15:30-15:40
京都大学における大学改革の取組
飯吉 透(理事補/高等教育研究開発推進センター長/教授)
岡山大学 15:40-15:50
研修を生かすための岡山大学の取り組みーその苦悩と取り組みー
那須 保友(医歯薬学総合研究科長/研究推進産学官連携機構 医療系本部長)
長崎大学 15:50-16:00
挑戦した大学改革 長崎大学編
塚元 和弘(教学担当理事・教務担当副学長)
佐賀大学 16:00-16:10
佐賀大学の現状(イマ)と未来(コレカラ)
寺本 憲功(理事・副学長)
九州大学 16:10-16:20
躍進百大:広大なキャンパスから世界へ
玉田 薫(先導物質化学研究所 教授/副理事)

総合討論 16:30-18:00

2日目 3月2日(土)プログラム

司会:大竹 尚登(東京工業大学 科学技術創成研究院 副研究院長)

国立大学名 / University 発表時間 / Time 発表プログラム・発表者 / Program & Presenter
東京工業大学 9:10-9:20
東工大のガバナンス改革とこれからの課題
佐藤 勲(統括理事・副学長/理事・副学長(企画担当))
東京農工大学 9:20-9:30
東京農工大学の改革の現状
千葉 一裕(農学研究院長/農学府長/農学部長)
神谷 秀博(生物システム応用科学府長)
東京大学 9:30-9:40
東京大学の改革の取組み
瀬川 浩司(先端科学技術研究センター教授)
静岡大学 9:40-09:50
地域イノベーション・エコシステム確立に向けて
木村 雅和(理事(研究・社会産学連携担当)/副学長、イノベーション社会連携推進機構 機構長)
広島大学 9:50-10:00
大学トップマネジメント研修を振り返って – 広島大学における取組 –
渡邉 聡(総合戦略室・副学長(総合戦略担当))
三重大学 10:00-10:10
地方大学による社会連携と経営への意義
西村 訓弘(副学長(社会連携担当)/地域イノベーション学研究科 教授)
熊本大学 10:10-10:20
これからの熊本大学の課題と方策
甲斐 広文(大学院薬学教育部長・薬学部長)
大阪大学 10:20-10:30
大阪大学らしい大学改革に向けて
小川 哲生(理事・副学長)

総合討論 10:40-11:10

総括シンポジウム「国立大学改革の最前線」

プログラム(PDF)のダウンロードはこちら

登録は締め切らせて頂きました。

〆切:2月25日(月)正午 ※申し込みは定員に達し次第、締め切らせていただきます。

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平成30年度「大学トップマネジメント研修」第2回国内プログラム 開催レポート http://ttm.grips.ac.jp/archives/977.html http://ttm.grips.ac.jp/archives/977.html#respond Wed, 16 Jan 2019 03:10:11 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=977 平成30年12月6日(木)〜12月8日(土)、政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センターは、文部科学省「イノベーション経営人材育成システム構築事業」のもと平成30年度第2回国内プログラムを実施しました。
第1日目は、「研究大学の将来と課題」をテーマに、20年もの長きにわたりエール大学の学長を務められたLevin名誉学長、並びに指定国立大学法人の指定を受け、「世界屈指の研究大学」を目指して積極的に大学改革を実行されている名古屋大学松尾総長をお招きし公開セミナーを実施しました。
非公開セミナーでは、国立大学の財務・会計に詳しい講師をお迎えし、大学における財務マネジメントに必要な基礎知識を学び、さらに今の国立大学の財政的課題について活発な議論を行いました。また、英国や欧州の事例を参考に財政的観点から大学の評価について講義が行われました。

詳細はこちらをご覧ください。(クリックでPDFが表示されます。)

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【世界の大学事情】第21回 1. 『グローバル・エンゲージメントの再構成』, 2. 『東アジアにおける高等教育の地域化』 http://ttm.grips.ac.jp/archives/1022.html Wed, 16 Jan 2019 02:30:36 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=1022 その1:『グローバル・エンゲージメントの再構成』(Reframing Global Engagement)(IHE #90: 2017年)
Marijk van der Wende(オランダ・ユトレヒト大学高等教育教授)

前提とシナリオの再検討
壁が構築され、国境が閉鎖される時代において、高等教育は、開放的で民主的かつ平等な社会の実現に向けたその役割の中で新たな課題に直面している。近年の地政学的な事象や、激化したポピュリズムの傾向は、国際主義の拒絶を推進している。国境の開放、多国間貿易、協働への支持は弱体化し、グローバル化は批判され、国粋主義が出現してきている。ブレグジット、欧州連合の崩壊の可能性、アメリカ合衆国が世界に背を向けていることは、国際的な協働や、学生・研究者・科学的知識・発想の自由な往来について、高等教育に不確実な波を引き起こしている。同時に、中国は「一帯一路」(または「新シルクロード」)計画などの新しいグローバル構想を立ち上げている。これは、高等教育においても新しく、異なる条件の下で展開されるであろうが、ユーラシア大陸諸国の主要な部分を統合する可能性を持つものである。

このような変化は、グローバル化と、高等教育の国際的発展に関して、我々が持つ前提の批判的再検討を要求するものである。我々は、相互的な関わりが薄く、より統合度合いの低い世界が到来するという可能性を、10年前に想像できたであろうか?グローバル化の諸定義は、本質的に進歩主義的なものである。それらは、国または地域間の相互依存性の増大とともに生じた、世界規模の相互的結びつきの拡大、深化、加速に言及した。しかしその途上で、とりわけ不平等のリスクと、勝者だけでなく敗者も生むグローバル化のリスクを示唆する、重大な警告がなされたのである。

事実、10年前、OECDの刊行物である「高等教育の4つの将来のシナリオ」1 の中に示された「地域社会への奉仕」と題されたシナリオでは、変化の主要な駆動因として、「・・・近年のテロ攻撃や戦争、移民の増加に関する懸念、アウトソーシングへの苛立ちや、グローバル化と外国の影響によって国家のアイデンティティが脅かされているという感情を含む、様々な理由による一般大衆における国際主義に関する懐疑の高まり」という「グローバル化への反動」に言及している。さらに、それは、戦略地政学的な理由によって各国で発足した野心的な新規の軍事研究事業や、増加する自然科学、生命科学、工学の研究主題に与えられる秘密区分にも触れている。なお、このシナリオは、当時、変化の方向性として、ありうるとはあまり見做されていなかったのだが、10年後、姿を現したのは正にこれであった。これには、近年発表された防衛関連R&Dを促進するEUの数十億の資金も含まれる。

国際主義に対する増え続ける懐疑論は、貿易、国境開放、移民または難民についての公の政治的な討論や、学界においてさえも聞くことができる。国際主義に対して批判的な意見は、それがエリートで世界市民的な取り組みであるとして、第二外国語としての英語の使用、国際的ランキングとその帰結としての敗者と勝者の年表を伴ったグローバルな評価競争、高等教育機関の収入源としての留学生募集、そしてその他の「アカデミック・キャピタリズム(大学資本主義)」の形態に対して、報復するのである。

グローバル化、不平等、高等教育
経済学のトマ・ピケティや社会学のブランコ・ミラノヴィッチなどの学者は、グローバル化による逆説的な帰結についての理解を伸展させた。彼らは、主にアジア経済、特に中国の成長のため、経済的および社会的不平等がグローバルな次元は減少しているものの、特定の国家や地域内では増加していると分析した。このようなパターンは、かなりの程度、高等教育に反映されている。

世界における不平等の減少は、世界の高等教育と研究現場に及ぼす中国の台頭によるリバランス効果によって生じるものであり、これは、世界でのR&D 支出における中国の割合と研究者の割合(いずれも、それぞれ、アメリカ合衆国、ヨーロッパに次ぐ2位である)により実証されている。しかしながら、その結果として生じる競争は、より少ない拠点への資源の集中の強化を導き、より大きな不平等を産み、ヨーロッパにおける高等教育の景観のさらなる階層化に寄与する。グローバルな不平等はまた、その半数以上が中国とインド出身者である学生数の世界中での爆発的な増加にしたがって減少する。ただし、同時に、高等教育に対する公的資金の援助は、多くの西洋諸国においてプレッシャーに晒されている。民間による重要な資金援助を伴うアメリカのモデルは益々各国から追従される一方であるが、国内ではその公平性と金銭価値の低下の問題について強く批判されている。とりわけ、既に高等教育への参加割合の上限に近い社会では、収入格差を説明する上での高等教育の重要性は減少しており、家族背景や社会的なコネクションがより重要となることもある。

グローバルな位置づけとローカルな関与
このように、高等教育のグローバルな不平等さは減少傾向にあるものの、それがもつ、裕福な国において増大する不平等を埋め合わせる潜在的な能力、即ち、能力主義的な役割は疑問視されている。その結果として高等教育セクターには、以下の二つのプレッシャーがかかることになる。グローバルなレベルでの競争の激化と、ローカルにおける責務と教育の提供に関する批判の高まりである。世界ランキングでのグローバルの位置づけを探求することは、大学の国や地域に対する使命を脅かすものとして、また、それを世界主義的な学術界における豪遊者層の成すことであるとして、高等教育を社会から切り離すものとして批判されている。

10年前、グローバル化は、社会的一体性に悪影響を及ぼす経済的な不均衡を構築するものであり、グローバル化をリバランスする必要があることは既に明白であった。その後、大学は国際主義の使命を拡張することで、移民や社会的排除に対処し、より開放的になり、社会的マイノリティの学生のためのローカルアクセスを向上させ、グローバルな知識社会における成功の秘訣として多様性を受け入れるというグローバル化の文脈での社会契約を再定義し、若年層が効果的にグローバル市民に成長するという、真に国際的かつ異文化間の学びの共同体となるべきであった。

未来へのシルクロード
ある大学は別の大学よりも成功を収めているが、現在、我々が直面する問題を予期できたものは誰もいなかった。ヨーロッパにおいては、ベルリンの壁崩壊後の国際化の最盛期の楽観主義の中にあって、9/11以降においてさえも、それは想像不可能であった。将来の道について考えると、とりわけ、ヨーロッパ連合、アメリカ合衆国、中国が高等教育の景観に与える影響に関して、一連の大きな問題に直面している。

3月25日のローマ条約60周年記念の祝賀は、ヨーロッパの未来のシナリオに関する激しい討論によって特徴づけられ、その中には、高等教育にとって前途の明るいものもあった。同時に、EU–中国連携が研究拠点と高等教育協定を通じて確立されつつあり、中国がグローバルは高等教育の景観に及ぼす影響は増大している。中国の価値が高等教育にどのような影響を及ぼすだろうか?そして、我々は実際にこれらの価値をそもそも理解できるのだろうか?どのようにして、未来に向けたこの新しいシルクロードを通る安全な旅の下準備を学生に提供できるのだろうか?自らのビジョンと世界の理解を豊かなものとし、主としてまたは専ら西洋的である我々の関心を拡張し、新しい歴史に向けてそれを開示すること、これは国際主義のもう一つの主要な課題である。

1 OECD (2006) https://www.oecd.org/edu/ceri/38073691.pdf, p. 5.

※原文はこちらからご覧いただけます。

その2:『東アジアにおける高等教育の地域化』(Higher Education Regionalization
in East Asia)(IHE #90: 2017年)

Edward W. Choi(米・ボストンカレッジ国際高等教育センター博士課程学生)

東南アジア諸国連合(ASEAN)、東南アジア教育大臣機構(SEAMEO)、そして近年結成された日中韓三国政府による集合体という、東アジア地域の高等教育協力の牽引役となる3つの代表的な組織が形成された。これらのアクターは、部分的には、共通の東アジア高等教育の空間を構築するという欲求に突き動かされ、協働した歴史を有するものの、主として異なるニーズ、目的、タイムテーブル、習慣に基づき地域化スキームを実施している。この現象は、結果として、東アジア高等教育の地域化の分断化をもたらした。この事態を考察する上で、いくつかの疑問点が生まれる。なぜ、東アジアには、高等教育の地域化を進める上で、複数のスキームが存在するのだろうか?複数の地域化スキームに加盟する国にとって、ある地域化スキームが別のスキームに対し優先されることはありうるのだろうか?もし、ありうるとすれば、それは、個別のスキームごと、また、より広い意味では共通の東アジア高等教育空間の実現に向けた複数のスキーム全体という、東アジア地域化スキームに対し何か悪い意味合いを持ちうるのだろうか?

ASEANとASEAN大学ネットワーク
当初(およそ1967–1989年の時期)ASEANは、政治的安定と安全保障の二つの前提の下で協力を推進した。したがって、その創立時の加盟国であるインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイにおいては、ASEANは、特に国家独立運動の成功後、インドシナ半島における共産主義の封じ込めと、協調的な国造りを行うことに主眼を置くという使命が共有されていた。

しかし、経済統合に関する政治的議論の高まりが東アジア地域を占拠する中、1990年代の出来事、とりわけ1997年のアジア金融危機は、ASEANに関する論拠に変化を促した。この金融危機により、将来起こりうる不景気によってアジア地域が壊滅的な被害を受けることを阻止するための経済的解決策を探ることを目的として、ASEAN加盟国間のみならず、その他の被害を受けた諸国、即ち、日中韓の三国間においても、互いに協力する必要性が強調された。これら三カ国を加えた集合体は、ASEAN プラススリーとして知られることとなった。

東南アジア諸国のみが所属する排他的な集合体から、ASEAN プラススリーの構図、そして、後に(オーストラリア、インド、ニュージーランドの追加による)ASEANプラスシックス協定に至るまでのASEANの進化を通じて、アジアにおける高等教育の地域協力をめぐる政策的な対話は少しずつ実体化していった。高等教育の地域化に向けた対話は、1970年代、ASEAN教育委員会の最初の2度の会議から始まった。これら2つの会議は併せて、高等教育、とりわけ、高等教育卒業生の潜在的労働力が、地域の経済的繁栄をもたらす主要な原動力であるとして推進された。また、会議では、資質と意欲のある学生を確保するために国を超えたパイプラインを構築することに向けた説得力のある議論が展開された。この結果、ASEAN大学連合(ASEAN University Network: AUN)として知られる準地域的団体が発足した。これは、ASEAN大学連合質保証枠組み(ASEAN University Network Quality Assurance: AUN-QA)と、30の加盟大学間の大学教員、職員、学生の交流を促進するASEAN単位互換制度(ACTS)によって支援されている。

SEAMEOと東南アジア高等教育圏
ASEANのAUNは準地域的なプラットフォームで運営されているが、SEAMEO高等教育開発センター(Regional Institute of Higher Education and Development: RIHED)は、東南アジア高等教育圏(South East Asian Higher Education Area: SEA-HEA)を設置するという、より高度な目的の達成を目指している。これまでに、3つの主要な地域化プロセスがこの取り組みを進めてきた。それらは、マレーシア、インドネシア、タイ(M-I-T)間の試験的学生流動計画と、ASEAN質保証連合(ASEAN Quality Assurance Network: AQAN)と東南アジア単位互換制度(Southeast Asian Credit Transfer System: SEA-CTS)という二つの地域調和機構である。アジア・太平洋大学交流機構単位互換制度(University Mobility in Asia and the Pacific Credit Transfer System: UCTS)の支援を受け、M-I-T の23の大学が、この取り組みの4年の実施期間中(2010~2014)、1,130人の大学学部生の交換留学を促進してきた。M-I-Tは現在、ASEAN International Mobility for Students (AIMS)という、より包括的なブランド戦略の下に前進しており、その付託権限を、更にブルネイ、ブルネイ・ダルサラーム、日本、フィリピン、ベトナムの4カ国を含むよう拡張することを計画している。SEAMEO高等教育開発センターの取り組みのうち、M-I-Tとは対照的に、AQANとSEA-CTSの活動は評価しにくかった。しかし、これら二つの地域機構はAIMSの下で認知度を高めることとなりそうである。

キャンパスアジア
東アジアの高等教育の地域的協力の現場に最も新しく出現したものは、キャンパスアジア(Collective Action for Mobility Program of University Students in Asia: CAMPUS Asia)と称される日中韓三国間学生移動スキームである。2012年に日中韓の指導の下で試験的な企画として発足したキャンパスアジアは、単位互換、ダブルディグリー、ジョイントディグリープログラムを通じて、学部生と大学院生の移動を促進し、共有資源と知識基盤を通じて、優れた才能を持つ「アジア人専門家」を育成することを目的とするものである。このような専門家は、国際的な競合力を持ち、知識に基盤を置く北東アジア地域の大使となることが期待される。恐らく二次的な目標となるが、この移動スキームは中国と韓国の頭脳流出問題(北アメリカやヨーロッパなどの人気の留学・労働先への知的資本の喪失)を軽減しつつ、将来的な入学者数の減少に直面している、特に日本と韓国の高等教育セクターの国際的需要を創出する一手段と見做すこともできる。

東アジアの地域化の難点
個別に考察すると、上述のすべての東アジアの高等教育地域化スキームは、その各々の地理的範囲内で、異文化理解の深化、知識共有、熟練労働者の国際的なパイプライン、地域の安定と平和といった、著しい便益を生み出す可能性を持っている。しかしながら、全体として見ると、それらのスキームは相互排他的であり、場合によっては重複的な地域内外の経済・政治的相互依存性により構成されており、高等教育の地域化の分断化した景観を表すものである。地域的なネットワークが政治的工作やその他の見せかけの行動を取りがちなため、このような非協調的なダイナミクスが、地政学的な緊張を引き起こすのは当然の成り行きである。これは特に、プログラムが近隣地域に拡大し、他のイニシアチブに既に従事している加盟国を取り込もうとするためである。

例えば、日中韓の北東アジア三国間集合体は、キャンパスアジアにASEANやSEAMEOの加盟国を迎え入れる計画があるが、一方、ASEANとSEAMEOはいずれも、それぞれAUNとAIMSを北東アジア、即ち、日本、中国、韓国に拡大する可能性を考慮してきた。新しい地域協定の可能性が開かれると、複数のプログラム加盟国は、最も多くの便益(例えば、名声、政治的な支持、資源)を生むか、最も実現可能性が高いか、あるいはその双方であるような協働的協定に敬意を示したり、より多くの資源を割いたりすることを選択するかもしれない。波及的なASEANプラスワン協定(例:ASEAN-日本)の成熟は、恐らく、より巨大なASEANプラススリー集合体の発展を犠牲にするものであるが、この論点を説明するものである。その他の場合においては、地域ネットワークは資源をめぐって争うこととなり「あまりに広範囲に手を広げすぎている」こととなるかもしれない。加盟国は複数の地域化イニシアチブに対して財政的支援、人的資源、時間を捧げることになるからである。総括すると、ある地域化スキームを優先するという活動は、持続的な地域の協力的絆の涵養を頓挫させ、複数の加盟国が共有する複数の地域化スキームの前進の妨げとなりうる。もしかしたら、包括的で単一の東アジア高等教育共同体の構築自体が危ぶまれるかもしれない。

東アジアの地方組織が直面するもうひとつの課題は、極めて分極化した文化、言語、高等教育の質をめぐる規準、特にビザ発給の手続きや学年暦に関する国ごとの慣習と制度を調和させる試みに内在される困難である。AQAN、UCTS、ACTSなどの参照ツールは最も可視的な差異を緩和し、AUNや試験的な国際的移動プロジェクトなどのエリート層の地域集合体のための学生交流を促進するのに成功してきた。しかし、東アジア全体を通じて、教育的な便益を同等化することを目的とした、より広域的な射程を持つ調和化メカニズムの開発の必要性が生じている。この限界を認識した上で、SEAMEO RIHEDやアジア開発銀行(ADB)は、学術単位互換枠組み(Academic Credit Transfer Framework: ACTFA)として知られる包括的な汎東アジア参照ツールとなることが期待されたものを開発し始めた。しかし、東アジアに共存する多くの地域ネットワークは、その各々の準地域で生成した移動スキームや調和化機構を促進する傾向にあるため、この新しい枠組みを許容するかどうかが問題である。現在、キャンパスアジアはそれ自身の単位互換システムや質保障枠組みを探求しているとみられ、アセアン大学連合(AUN)は、既述のように、AUN-QAやACTSを利用している。

このような現在の事情からすると、東アジアの高等教育に関する複数の地域化機構間の協力を深化させることを強調するのに、まさに今がちょうど良い時期であると言える。ここでの目的は、恐らく現在の東アジア地域化の特徴とも言える地政学的緊張を緩和し、地域化機構間の知識および資源を共有する効率的な方法を開発することで、地域を通じた高等教育の便益を同等化することである。恐らくは、このようにして、東アジアの地域化は、単一の汎東アジア高等教育共同体の構築という、より包括的な地域化計画に向かうことが可能である。

※原文はこちらからご覧いただけます。

<翻訳者>新見 有紀子(政策研究大学院大学 客員研究員、一橋大学 講師)

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平成30年度「大学トップマネジメント研修」第3回 国内プログラム 公開セミナーを開催します http://ttm.grips.ac.jp/archives/975.html http://ttm.grips.ac.jp/archives/975.html#respond Thu, 20 Dec 2018 01:15:25 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=975

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【世界の大学事情】第20回 1. 『マレーシアの公立大学と予算削減』, 2. 『十分な財政支援を行う機会の再喪失? オーストラリアの高等教育の財源不足』 http://ttm.grips.ac.jp/archives/985.html Mon, 17 Dec 2018 06:50:12 +0000 http://ttm.grips.ac.jp/?p=985 その1:『マレーシアの公立大学と予算削減』(Public Universities and Budget Cuts in Malaysia)(IHE #91: 2017年)
Doria Abdullah(マレーシア工科大学専門・継続教育学部(UTMSPACE)上級講師、国境なき高等教育観測所(Observatory on Borderless Higher Education: OBHE)研究員)

マレーシアは教育に多額の投資を行っている。マレーシアの高等教育セクターは、教育予算において最大のシェアを占める。公的資金は、国内の20の公立大学に直接支出される。2007年の大学の運営予算は、政府からの支出が90%を占め、残りの10%は授業料とその他の自己収入であった。また、公的資金は奨学金、学生ローン、学生個人が書籍・参考資料の購入やブロードバンド契約をする為の年間給付金を通じて、間接的に割り当てられた。

2007年以降、マレーシア政府は高等教育の財政支援を削減している。公立大学への配分は現行で70%にまで削減され、予算の30%は自己収入によって補填されている。削減率は過去2年で特に大きかった。2017年、公立大学は61.2億リンギットの総配分を受領したが、これは2016年に受領した75.7億リンギットの配分から19.23%低下したことを表している。

このような巨額の削減はマレーシアの学術界の間では不評である。政府が予算削減を再考するよう、公立大学の学長らだけでなく、限られた資源による環境で提供される高等教育の質に対して懸念を持つ一般の人々からも多数の要求がなされた。

合理的根拠
現行の緊縮措置を正当化する理由として、経済的な不安定さを持ち出すのはかなり便利である。石油価格の変動と現地通貨リンギットの価値の下落によって、全体的な歳入と税収が減少し、高等教育セクターが利用できる公的資金額が縮小した。ここで注目されるべきことは、他のセクターもこれを免れていないことである。例えば、医療セクターもまた、近年、財政支援の削減を経験している。

高等教育への公的な財政支援の段階的削減は必要である。マレーシアはUniversitas 21の国別高等教育制度ランキングにおいて、高等教育に配分する資源の割合で、50カ国中11位にランクインしている。しかしながら、同国は、研究、高等教育機関の卓越性、卒業生の雇用可能性に関する業績とインパクトに関しては39位である。莫大な公的財政支援を受ける高等教育セクターにとって、この成果は期待を満たすものではない。業績に基づく予算配分を参考にし、政府は公立大学への予算配分を合理化しており、大学に対し、現行よりも効率的な運営を求めている。

マレーシアの高等教育セクターが大いに拡大してきたという事実は変わらない。2012年、高等教育を受ける学生数は120万に上ったが、この数字は2025年までに250万人に増加すると期待される。次の十年で2倍の拡張が予想されるため、高等教育セクターを支援する公的資金の増加は持続可能な解決案ではない。予算削減は決定的でタイムリーな時に行われ、公立大学は新しい規範に適応しなくてはならない。

予算削減への対応
予算削減の前、公立大学は快適な財務状況にあり、その中核的な仕事を通じて自ら収入を生み出さなくてはならないという圧力はなかった。財政支援削減により、全ての機能で迅速な変化が必要となった。それは、事務機能、交通費手当、イベント運営の短期的で費用削減的な施策から始まった。次に、大学は外国人教員の採用、研究者の流動性、基盤構築の額を削減した。これに続き、キャンパス内の資産の貸し出し、公的なコンサルティングサービスの増加、産業界と共にR&Dの商用化の後押しを行った。

授業料の急騰は、財政的な難局を乗り越える迅速な方法かもしれない。しかしながら、高等教育省大臣は、国内の学生の授業料は引き上げないということについて、個人的な再確認を表明している。大学は、段階的に授業料を値上げしたり、授業料を学生の社会経済学的背景によって調節することを可能にするために、授業料金額の再検討を求めることで解決に向けた交渉をしている。学部生または大学院生として入学する留学生は、全授業料を支払う。そのため大学は、留学生の入学を増やすよう推進してきた。

大学は、同窓会活動事務局の機能を再検討し、自校の同窓会ネットワークとの連携を高める企画に着手している。寄付またはワクフ(Waqf)という、イスラムの原理に沿った資産の寄付や寄付金を介した一般の人々から高等教育への寄付が推奨されている。また、大学は一般の人々を対象として、市場価格で、フルタイムの教育課程や様々な専門職課程を提供する民間団体も設置している。このような構想は、高等教育セクターの外では一般的であるが、マレーシアの公立大学の不可欠な要素となってきている。

高等教育省のアジェンダ
高等教育省は、予算削減を利用し、ふたつの変革アジェンダを推進している。
第一のアジェンダは、ガバナンスに関するものである。各公立大学の儀式的で休眠的な構造を持つ理事会は、今や意思決定プロセスを促進する特殊な役割を与えられている。理事会はまた、アセスメントを毎年行い、自身の有効性の評価を行っている。

マラヤ大学、ケバングサン(マレーシア国民)大学、マレーシアプトラ大学、マレーシアサインズ大学、マレーシア工科大学の5つの研究大学は、財務上の自治の認可を受けた最初の大学群であり、学生の入学、学術管理、人材、収入創出に関するより大きな意思決定権を有する。

第二のアジェンダは、業績の指標と、大学の財務的な持続可能性を支援する特定機能に関するものである。学長の業績契約には、収入創出に関する目標が含まれる。これは、将来の財政支援配当の配分と全体の業績評価に影響を及ぼすものである。その他の戦略的機能としては、事業開発部と協力し、大学への財政支援の機会を切り開く開発担当学長代理、学術及び研究上のコラボレーションのため、産業界および地域社会の外部組織と戦略的に手を結ぶ産業地域担当学長代理などが置かれる。

未対処のギャップ
公立大学は習熟曲線上の急カーブに差し掛かっている。教員と事務職員はこれに適応するのに困難を感じている。考え方や行動を変えるにはしばらく時間がかかるとみられる。多くの人はより効率的かつ革新的に収益を創出する必要があることを理解しているが、実際の施行を想像するとたじろぐのである。実際、彼らはそれを遂行する基本的な起業家的な能力を有していないのかもしれない。教員と各部門はリスクを嫌悪し、新しい物事の進め方を発見するよりも現行の構想を維持することを選好する。

重大な関心事は、規制枠組みの変更であり、そこには大学の自治の立場の承認が反映されていない。より多くの収益を創出するには、大学は企業のように振る舞わなくてはならない。しかし、公立大学は1971年制定の総合大学及び単科大学法(2009年改定)の下で創設されたので、未だに伝統的な構造と投資に縛られているのである。また、大学は予算配分、調達、その他財務的事項について、高等教育省、財務省、経済企画事務局が要求する何層もの承認と文書業務を進めなくてはならない。

予算削減はマレーシアの高等教育の状況を永く呪縛するものとなるだろう。国は現在の財務状況を、学術及び研究活動のための既存の配分資金を維持ないし増加させつつ、より無駄なく効率的に運営される必要のある公立大学を変革する機会として巧みに利用しうる。これに加えて、公立大学が、民間または外国の機関と協力し、国境を越えた教育(TNE)の未知の領域を開拓して、革新的なTNEモデルを通じて教育課程へのアクセスを拡張するための機は熟している。

※原文はこちらからご覧いただけます。

その2:『十分な財政支援を行う機会の再喪失?オーストラリアの高等教育の財源不足』(Another Missed Opportunity? Underfunding Australian Higher Education)(IHE #91: 2017年)
Anthony Welch(シドニー大学教育学部教授、天津大学「海外名師」兼PhD指導官)

オーストラリアの連邦政府が提案する近年の一連の予算改革は、高等教育セクターが経験する既存の資金問題を悪化させるだけであろう。前の内閣が提案した最悪の予算削減案のいくつかは現在破棄され、それらは今後、議会の承認を決して得ることが無いと確認された。しかしながら、その特定の財政危機は避けられたものの、現在の一連の提案では、高等教育の財政を十分に賄う機会を再び失うことになるという、オーストラリアの主要な大学の学長が出した結論に反論することは困難である。

オーストラリアの高等教育セクターへの政府の財政支援は1996~2006年の10年間で4%下落した一方、OECDのデータによると、OECD加盟国の高等教育への財政支援は同時期で平均49%上昇していた。その政治活動の最重要項目に、国として科学とイノベーションを優先する必要性を掲げていた新しい内閣総理大臣が改革者となり、高等教育と研究の予算を大幅に増額させるとの期待が高等教育セクター内にはあった。近年、医学分野で少なくとも二つのノーベル賞の受賞があり、さらに、太陽電池技術、生命工学、量子計算などの様々な分野における国際的に先駆的な業績を鑑みると、政府が以前の予算削減を覆し、適切に高等教育セクターに財政支援を行い、研究上の全費用を支援するというかつての約束を果たすことに期待するのは当然のことであった。例えば、「グループ・オブ・エイト(Group of Eight)」と呼ばれる先導的な研究重点型大学である8つの大学は、恒常的に研究支援の最大の分け前を獲得しているが、政府による研究費全額負担の継続的な不履行は、研究予算の逼迫を増加させることを意味する、と長らく不満を訴えてきた。

提案された改革
このような当然の期待にも関わらず、過去の失敗を是正するというより、それをさらに悪化させるような措置が新しく提案されたことに、高等教育セクターは意気消沈させられることとなった。重要な改革は、長らく継続して来た、国の所得連動型学生ローンのスキームを下支えする公債と民間債の割合のバランスを再調整することであった。既存の制度では、学生は自分の学位の42%の料金を支払う義務を負うが、この額は、学生が卒業し、就職し、最低設定年収を超える額を稼ぐという特定条件を満たした場合にのみ発動されるものである。これらすべての条件が満たされると、卒業生は債務が消滅するまで、追加で適度な額の所得税を支払う。新制度のもとでは学生の負担は増し、2018年~2021年の間、毎年1.82%追加で支払い、最終的な合計額は7.5%の上乗せとなる。これは、2021年より、学生が自分の学位の42%ではなく46%の費用を支払うことを意味する。

学生に対する提案された費用負担の変化が、学生、とりわけ社会的弱者層に属する学生の入学の妨げとなるかどうかはまだ分からない。提案された改革は、特にパートタイムで学ぶ学生にとって、高等教育の魅力を失わせる、もしくは高等教育を法外に高額なものにしかねないのではないだろうか。学生ローンスキームの元々の設計者は、新制度は学生の債務にはあまり影響がなく、学生がローンを返済するのにかかる期間が1年増えるに過ぎないはずであると試算している。これよりずっと重大なことは、ローンの返済の義務が発生する最低設定年収を、$55,000から$42,000に大幅に引き下げたことである。ただし、債務回収率を4%から1%に引き下げたことは、大半の学生に対する影響が比較的小さいということも意味する。

学生ローンスキームの変更以外では、大学は、連邦交付金スキームに対する「効率性配当(efficiency dividend)」の形で、2年間で$3.842億AUドルという、ほぼ$4億AUドルの直接的な削減に見舞われることとなる。このいわゆる「効率性措置」は予算削減のための便利な婉曲表現であり、国による研究費の全額負担の継続的不履行に連なるものである。提案された削減が施行されれば、2018年の財政資金の全体で2.5%の削減、さらに2019年で2.5%の削減を示すものである。全体としては、高等教育セクターへの公的資金が2016~2017年からの5年間で$20億AUドル近く削減されることが推定される。大学の助成金の指標化の方法の変更と合わせて考えると、大学が、学生当たりで受ける助成金はより少なくなる一方、より多くのことをしなくてはならないという意図があることは明白である。明らかに、これは財政面の問題に対する解決案とはならず、実際には、これまで既にしばらくの期間活力を失っていた大学の状況を、さらに悪化させるものでしかない。

放棄された改革案
2014-15年の高等教育に対するより初期の規制緩和予算における最悪の要素は、現在の一連の提案において放棄された。これらの過去の提案の中には、教育セクター全体における約20%の予算削減や、学生ローンの負債への実質金利の導入(現在はインフレ率にのみ関連付けられている)がある。さらに、需要の高いコースについては、大学が自己裁量で料金を請求することができるとされた提案も放棄された。いくつかのコースについて高い料金を請求するという柔軟な提案を支持した何人かの(主に最も富裕な大学の)学長は、個人的には、それらの提案が放棄されたことに落胆していたかもしれない。しかし、高等教育セクターの大多数は、高等教育と国家の研究の取り組みを深刻に弱体化させかねなかったこれらの初期の施策が放棄されたことに安堵のため息をついた。国の議会はその施行に対する同意を一貫して拒んできたことから、そのような施策を放棄したことは、単にそれらの施策が初めから失敗する運命にあったという承認に過ぎないとしても、潜在的な大規模な財政危機は回避されたのである。

成功による問題
初期の提案の最悪の影響は回避されたものの、新しい予算措置もまた、不十分な財政支援の問題に対処できずにいる。問題は、これまで、オーストラリアの大学があまりにも成功しすぎて、そのために懲罰を受けているということである。オーストラリアの大学自身が輸出収益を生む主要な原動力へと変換し、留学生の料金から毎年合計で200億AUドルを稼いでいることで、国は、大学について自由に乳を絞り出すことのできるお金を産む牛(金のなる木)と見做すようになった。さらなる「効率化配当」と研究の全額負担の不履行の継続は、大学が留学生からより多く稼ぐことによって、国からの交付金の減少を補填するという方向に大学を追いやっている。少なくとも一人の学長は、より多くの留学生を入学させることは、オーストラリア人学生と置換することになりうるという可能性を提起することで応答している。この議論は過去の高等教育に関する国家の論争の一部として提起されたことはなかった。しかし、高等教育入学者の4人に1人(いくつかの一流大学では3人に1人)が留学生であるという事実――世界の主要な教育制度で最も高い値――は、初めて、一般の反発を持って迎えられた。初期の提案の最悪の要素は回避されたものの、現在提案されている一連の「効率化配当」は、学生ローンの財政負担のより多くを州から学生自身に移行させるものである。また、交付金助成メカニズムの変更については、この将来の見通しに何も対処しておらず、高等教育セクターに十分な財政支援を行うことに対する長きにわたる不履行に連なるものでしかない。

※原文はこちらからご覧いただけます。
 
 
<翻訳者>新見 有紀子(政策研究大学院大学 客員研究員、一橋大学 講師)

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